健康経営優良法人とは？メリットや費用を徹底解説

小野馨

こんにちは。行政書士の小野馨です。

今回は、「健康優良法人とは何か？」について、そのメリットや費用などを解説します。

「健康経営優良法人とは」について気になっているということは、あなたの会社でも従業員の健康管理を経営戦略の一環として捉え始めているということかもしれません。

しかし、「具体的に何をすればいいの？」「申請は面倒ではないのかな？」といった疑問をお持ちではないでしょうか。

それ、気になりますよね。

私たち行政書士が会社設立や経営戦略の立案をサポートする際、最初に大切なポイントを検討せずに、申請を進めてしまって、法人口座開設や許認可で後から大きな手間と時間がかかり、経営者の貴重な時間が無駄になってしまうことがよくあります。

健康経営優良法人の申請も、法令遵守の土台や書類作成が不十分だと、同じように時間と労力を浪費してしまうんですね。

この記事では、私が持つ行政書士としての専門知識を活かし、健康経営優良法人とは何かという基礎から、申請の全体像、そして法令遵守を前提とした具体的な進め方までを、わかりやすく解説したいと思います。

ぜひ、最後までご覧ください。

 健康経営優良法人とは何かを定義

このセクションでは、健康経営優良法人とはどのような制度で、何を目指しているのか、基本的な定義と背景について解説します。ここを理解することで、「やらされ感」ではなく、戦略的な投資としてこの制度を捉えられるようになります。

 制度の目的と費用対効果の関係

健康経営優良法人とは、企業が従業員の健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に実践していることを国が顕彰する制度です。

この制度が生まれた背景には、単に「社員に優しく」という人情論だけではなく、日本が直面している極めて現実的な課題、つまり少子高齢化による労働人口の減少と、それに伴う社会保障費の増大があります。

国は、企業が従業員の健康に積極的に投資することで、社員が長く元気に働けるようになり、結果として医療費が適正化され、日本経済全体の生産性が底上げされるという、壮大な目標を掲げているんですね。

あなたの会社が健康経営に取り組むことは、実は国策の一翼を担っているとも言えるんですよ。

健康投資が「コスト」から「リターン」に変わる仕組み

従来の「福利厚生費」という考え方だと、健康への支出はただのコストと見なされがちでした。

しかし、健康経営の概念では、この支出は「投資」です。投資のリターン（ROI）はどのように生まれるかというと、主に以下のサイクルです。

• 健康状態の改善：健康診断の数値改善、高ストレス者の減少。
• 生産性の向上：「プレゼンティーイズム（出勤しているが体調不良でパフォーマンスが低い状態）」や「アブセンティーイズム（病欠）」の改善。
• 組織力の強化：離職率の低下、エンゲージメント（仕事への意欲）の向上。
• 企業収益への貢献：採用コスト削減、優良な取引先との連携強化、ブランドイメージ向上。

特に中小企業にとっては、離職率の低下や、優秀な人材の採用競争力の向上といった、目に見える効果があるため、単にイメージアップだけでなく、実利的な効果を期待できます。

私が見てきた中でも、健康経営を始めたことで、採用面接での学生の反応が劇的に良くなったという事例は枚挙にいとまがないですよ。

この投資効果を客観的に示すことが、経営陣を納得させる上で最も重要になります。

健康経営の具体的な理念や政策的な位置づけについては、経済産業省の公式ページで詳しく確認できます。企業の持続的な成長戦略として健康経営が位置づけられていることが、よくわかるかと思いますよ。

（出典：経済産業省『健康経営の推進について』）

健康経営優良法人とブライト500の違い

「健康経営優良法人」の認定は、企業の健康経営への取り組みを社会的に認めるベースの称号ですが、その上には、中小企業部門において特に優良な上位500社に与えられるブライト500という特別な称号があります。

ブライト500とは、単に要件を満たすだけでなく、地域において**「健康経営の発信を行っている優良な法人」**として認められた証であり、これを名刺やホームページに掲載することのインパクトは計り知れません。

ベース認定とトップランナーの評価基準

通常の健康経営優良法人の認定は、「法令遵守」と「最低限の健康施策の実施」に重点が置かれます。つまり、従業員の健康を守るための**「守りの経営」**の土台が整っていることの証明と言えますね。多くの企業がまずこのレベルを目標として、安定した経営基盤の整備を目指します。

対して、ブライト500を目指すということは、**「独自の先進的な取り組み」や「取り組みの効果測定（ROIの提示）」が厳しく問われるステージに進むことになります。

これは、企業価値の向上を目指す**「攻めの経営」**の一環であり、他の企業が追随できないようなイノベーションや、地域社会への貢献度までが評価の対象となりますよ。

例えば、単なるウォーキングイベントの実施ではなく、従業員のメンタルヘルスデータの分析に基づいた**具体的な研修プログラムの導入**などが評価されます。

ブライト500の競争倍率は年々高くなっており、中小企業部門の認定企業数が増えるにつれ、その狭き門を突破するためには、創意工夫と継続的な改善が不可欠になっています。

単なるチェックリストの消化ではなく、「我々の企業文化に基づいた健康経営とは何か」という深い問いに向き合う必要があります。

その分、選ばれた場合の社会的評価は非常に高く、**採用時の優位性は通常の認定よりも遥かに高い**ものになりますよ。

 中小企業部門の定義と申請の基礎

健康経営優良法人の認定は、業種と常時使用する従業員数によって「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」の2つに厳格に区分されます。この区分を間違えてしまうと、申請自体が無効になる可能性もあるので、まず自社がどちらに該当するのかを正確に把握することが申請の基礎中の基礎ですよ。

業種ごとの中小企業部門の定義と注意点

「中小企業」の定義は業種によって細かく分かれています。

例えば、**製造業や建設業**などは従業員300人以下が中小規模法人部門に該当しますが、**小売業やサービス業**では50人以下が中小規模法人部門に該当するなど、基準が異なります。この従業員数には、パートやアルバイトといった非正規雇用者も含まれる場合がありますので、正確な人数を把握することが重要ですかいね。**自社の業種と従業員数を照らし合わせ、適切な部門を選択してくださいね。**

また、中小企業部門は、日本の企業数の99.7%を占めるため、国の政策としても特に普及が図られています。そのため、大規模法人部門よりもリソースの少ない**中小企業**でも取り組みやすいように、評価基準が設計されています。この点を理解し、自社の規模に合わせて無理のない範囲で取り組みを始めることが大切です。

申請の基礎となる3つの前提条件

中小規模法人部門で認定を目指すには、主に以下の3つの前提条件を満たしていることが求められます。

1. 健康保険組合等への加入：協会けんぽなど、保険者に対して「健康宣言」を行い、登録を完了していること。これが、制度への参加意思を示す最初の一歩です。
2. 法定健診の確実な実施： 従業員全員に対して、労働安全衛生法に基づく定期健康診断を100%実施し、その結果を適切に記録・保管していること。これは**法令遵守**の最たる証明であり、すべての健康経営の土台となります。
3. ストレスチェックの実施（推奨）： 50人未満の企業では法定義務ではありませんが、認定を目指す場合は実施することが強く推奨されます。これは、優良な取り組みを証明するために、法定ライン以上の取り組みを求めているためですよ。

行政書士の立場から見ると、特に中小企業では、**健康経営**の取り組みと事業継承を絡めて考えることで、従業員の定着率が上がり、結果的に企業価値の向上に繋がるケースが多いなと感じます。

健康な組織は、次の世代への引継ぎもスムーズに進むものです。

申請手続きと並行して、企業の未来を見据えた組織づくりを進められるとベストですね。

 認定要件の概要とチェックポイント

認定を受けるためには、主に以下の5つの分野で取り組みが求められます。これらの分野で、必要な項目を一つ一つクリアしていくことが認定への道筋となりますが、単にチェックリストを埋めるだけでなく、その取り組みが**実効性**を持っているかが重要ですよ。

認定基準を構成する5つの分野と実務上の重要性

中小企業に求められる基準は、以下の5つの分野で構成されており、それぞれで取り組みが求められます。

法令遵守はすべての土台であり証明事項

特に法令遵守は、我々法務の専門家が最も重視するポイントです。

労働安全衛生法や長時間労働に対する適切な管理体制がないと、その他の取り組みが優れていても、認定は遠いものになってしまいます。

認定を確実にするための重要なチェックポイントは、「形式的に書類が揃っているか」だけでなく、「その制度が実際に社内で機能しているか」という実態を証明できる記録があるか、という点です。

この実態証明こそが、行政書士がサポートできる領域です。

認定を目指すことは、企業リスクを低減することに直結すると言えますね。

 取得メリットの詳細と実利的な効果

健康経営優良法人の認定は、具体的な**実利的な効果**を企業にもたらします。

認定取得のメリットは多岐にわたりますが、ここでは「ヒト」と「カネ」に絞って、その効果を深掘りします。

採用ブランディング効果の具体例と離職率への影響

ヒトに関する最大のメリットは、採用市場におけるブランディング強化です。

現代の若手社員は、給与の高さだけでなく、「働きやすさ」や「安定性」を重視します。

企業のウェブサイトや求人票にあの認定マークがあるだけで、その会社が「社員を大切にするホワイト企業」であるという公的な証明になります。

これは、自社の言葉でアピールするよりも遥かに信頼性が高いんですよ。

また、離職率の低下にも貢献します。従業員は、会社が自分の健康に投資してくれていると感じることで、組織へのエンゲージメント（愛着）が高まり、結果として定着率が向上します。

離職率が低下すれば、新たな採用や教育にかかる数百万単位のコストを予防的に抑えることができるんです。

これは、企業の持続可能性に直結する**最大の費用対効果**だと言えますね。

金融優遇と公共入札での優位性

カネに関するメリットも見逃せません。

企業が健康経営に取り組むことは、金融機関から見て「将来的な事業継続リスクが低い」と評価されます。

私自身、多くの企業の法務を扱っていますが、近年は銀行も非財務情報としての健康経営を重視しています。

認定マークは、企業の将来的な安定性を示す強力な証明書になっていますよ。

ただし、これらの優遇措置は金融機関や自治体によって異なり、あくまで一般的な目安であり、具体的な採択を保証するものではありません。

正確な情報は必ず各機関の公式サイトをご確認ください。

小野馨

認定取得がもたらす助成金や融資優遇の具体的な詳細については、こちらの専門記事で最新の情報を徹底解説しています。→ 健康経営優良法人認定で使える助成金・融資優遇の全知識

併せてご覧ください。

 健康経営優良法人とは目指し方

このセクションでは、健康経営優良法人の定義を理解した上で、実際に認定を勝ち取るための具体的な申請戦略と、行政書士の視点から見た注意点について解説します。

ここが、本業に影響させずにスムーズに認定を取得するための鍵となります。

目標を達成するための具体的なノウハウを掴んで、効率よく丁寧に進めましょう。

 認定申請の手順と必要な準備

認定申請は、毎年夏頃から秋にかけて行われますが、申請期間が始まってから慌てて準備を始めても、間に合わないケースがほとんどです。

なぜなら、審査では「申請時点で取り組みが実施されていること（実績があること）」が求められるからです。

申請の手順と準備は、以下の通り、計画的に進めることが大切ですよ。

認定取得までの標準的なステップ

1. 健康宣言の実施（春〜初夏）: まず、加入している保険者（協会けんぽ等）に「健康宣言」を行い、登録を完了させます。
2. 法定項目の実施と施策の導入（夏前）: 定期健康診断やストレスチェックの実施を完了させ、具体的な健康増進施策を開始・記録します。
3. 申請書類の作成とデータ収集（夏〜秋）: 経済産業省のサイトから申請書（調査票）をダウンロードし、必要事項を記入します。この際、施策の実施記録やデータが必要になります。
4. オンライン申請: 期間内に申請システムを通じて提出し、審査手数料を振り込みます。

申請の手順は複雑ではないですが、**提出期限は厳格**です。締切前に慌てて、不備のある書類を提出して審査で落とされてしまうのはもったいないですよ。特に、申請書には取り組み内容や効果を具体的に記入する必要があるため、日々の記録が非常に重要になります。**提出期限は毎年異なりますので、必ず公式サイトで最新情報を確認してくださいね**。

費用やコストを抑える具体的な方法

認定取得には、申請手数料（中小規模部門で16,500円程度が目安）や、外部のコンサルティング費用など、**費用**がかかることがあります。しかし、コストを抑える方法はあります。大切なのは、**「既存の義務」と「健康経営」を連動させること**です。

低コストで始められる施策例と工夫

例えば、法令で義務付けられている項目（健康診断やストレスチェック）を漏れなく実施し、その記録を適切に残すだけでも、大きな評価点になります。これは、新たな費用をかけずにできる最低限の取り組みです。さらに、健康増進施策についても、高額な設備投資は必ずしも必要ではありません。

• **運動推進:** 高額なジムとの契約ではなく、無料の健康アプリの活用や、社内ウォーキングイベントの実施など、**低コスト**で始められるものはたくさんあります。大切なのは、**継続性**ですよ。
• **食生活改善:** 社内の自動販売機や給茶機のラインナップをヘルシーなものに見直す、健康に関する情報を社内報で発信するなど、日常的な工夫で十分な施策になります。

大切なのは、**継続性**と**記録**です。「これをやったから費用対効果があった」と証明できるように、活動記録（写真や参加者名簿など）をしっかり残しておくことが、審査を有利に進めるための鍵となります。**初期投資を抑え、継続的な仕組みづくりに重点を置く**のが、賢い進め方かなと思います。

優秀な人材を獲得する採用戦略

健康経営優良法人とは、求職者にとって「安心して働けるホワイト企業」であることを示すメッセージです。このロゴマークを、**求人票や企業の採用サイト**に目立つように掲載することが、そのまま**採用戦略**になります。この公的な証明は、企業の採用力を圧倒的に高める効果があります。

離職率の低さが生む好循環

特に、採用コストが数百万単位になりがちな優秀な技術者や若手社員の採用において、この公的な証明は非常に強力です。ロゴマークは「うちの会社はブラックな働き方をさせません」という、言葉以上の説得力を持つんですよ。

さらに、健康経営によって離職率が低下すると、企業の採用コストは大幅に削減されます。

離職者が出なければ、新たな募集費用も教育費用もかかりません。

これは、持続可能な経営の最も重要な要素の一つです。この好循環を維持するためにも、単に制度に挑戦するだけでなく、その取り組みを社外に積極的に発信することが、採用成功への道筋です。

行政書士に依頼する最適なタイミング

認定申請において、経営者が最も手間取ってしまうのが、「法令遵守の証明」と「文書化」の部分です。

ここが、行政書士に依頼する最適なタイミングだと思います。行政書士は、企業法務の専門家として、この煩雑な手続きを代行し、経営者の時間を本業に集中させる役割を担います。

行政書士がサポートできる具体的な領域

我々は、法定項目が漏れていないかのチェック、必要な規程類の整備といった**企業法務**の視点からサポートできます。具体的なサポート領域は以下の通りです。

• **規程類の整備:** 労働安全衛生法に基づき、必要な規程が整備されているかのチェックと、健康宣言の文言の策定。
• **申請書作成代行:** 調査票への記入や、施策の実績を審査員に分かりやすく伝えるための文書化。
• **体制図の明確化:** 産業医や保健師との連携体制など、組織図上の責任範囲の明確化。

経営者は本業に集中し、我々のような専門家に事務手続きと法令チェックを任せていただくのが、結果的に最も時間の節約になりますよ。特に初めて申請する場合は、**準備段階の初期**（4月〜6月頃）に一度相談してもらうのが、最もスムーズです。

健康経営優良法人とは何か、次のアクションへの最終まとめ

健康経営優良法人とは、単なる証明書ではなく、企業の未来の成長に必要な「人的資本経営」の中核を担う戦略そのものです。

認定はゴールではなく、企業の持続的な成長に向けた最高のスタートラインだと言えます。

この制度への挑戦は、企業の生産性を高め、イノベーションを生み出し、長期的な成長を実現するための唯一無二の道なのです。

このページで制度の定義や目指し方を理解されたら、次のアクションは明確です。まずは、自社の現状の法令遵守体制と健康への取り組みをチェックし、改善点を見つけることから始めてください。**正確な情報は公式サイトをご確認ください**。

煩雑な書類作成や法令チェックが必要な場合は、ぜひ専門家である私にご相談ください。最適なロードマップを描き、あなたの会社が次のステップへ進めるよう全力でサポートしますね。**最終的な判断は専門家にご相談ください**。