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【建設業のメンタルヘルス】米軍採用の技術で「安全配慮義務違反」を回避!現場のストレスを「見える化」して入札も勝つ科学的アプローチ

こんにちは。ハートマス健康経営ラボ 代表の行政書士の小野馨です。

建設現場で万が一事故が起きたとき、会社が責任を問われる安全配慮義務違反のリスクについて深く考えたことはありますか。

最近は建設業におけるメンタルヘルス対策の重要性が叫ばれていますが、正直なところ何をすればいいのかわからないし費用対効果も気になりますよね。

現場の職人さんにストレスチェックをさせても本音を書くとは限らないし、形だけの対策では裁判になったときに会社を守れません。

この記事では精神論ではなく科学的なデータを用いて安全配慮義務違反のリスクを回避しつつ、入札加点という実利も得られる具体的な手法についてお話しします。

  • 安全配慮義務違反のリスクを回避するための具体的なデータ管理手法
  • 建設現場におけるメンタルヘルス対策がもたらす高い費用対効果
  • 職人のストレスを見える化してヒューマンエラーを防ぐ科学的アプローチ
  • 健康経営優良法人の認定取得が入札や融資に与える経済的メリット

精神論はもう限界!「安全配慮義務違反」を防ぐにはデータが必要

建設現場で事故が起きた際、企業が問われる「安全配慮義務」。これ、本当に怖いですよ。

裁判になった場合、会社側が「朝礼で『気をつけろ』と毎日言っていた」と主張しても、免責されることは難しくなっています。

ここでは、なぜ従来のやり方では通用しないのか、法的な視点から解説します。

「予見可能性」と「結果回避義務」の壁

裁判所などの司法判断において、会社側の責任を問う際に最も重視されるキーワードが「予見可能性」と「結果回避義務」の2つです。

「予見可能性」とは、その事故が起きることを事前に予測できたかどうか。「結果回避義務」とは、予測できた危険に対して、事故を防ぐための具体的かつ有効な手段を講じていたかどうかを指します。

建設現場の文脈で言えば、「あの職人、最近なんだか疲れてそうだったな」と事故後に現場監督が証言したとしても、それは何の免罪符にもなりません。

むしろ、「疲れていることを認識していた(予見できた)のに、高所作業から外すなどの措置(回避義務)を怠った」として、会社の過失が認定される決定的な要因になり得ます。

特に近年は、過労死やメンタルヘルス不調による自殺などが労災認定されるケースが増えており、企業に求められる「配慮」の水準が格段に上がっています。

単に労働時間を管理するだけでは不十分で、従業員の心身のコンディションを「客観的に」把握していたかが争点になります。

ここで問題になるのが、従来のアナログな健康観察の限界です。

職長が朝礼で「顔色が悪いぞ、大丈夫か?」と声をかけ、本人が「大丈夫です、やれます」と答えた場合、それを鵜呑みにして事故が起きれば、会社は「漫然と作業させた」と判断されかねません。人間の主観的な「大丈夫」ほど当てにならないものはないからです。

会社を守るために本当に必要なのは、「いつ、誰が、どのような精神状態(ストレス値)だったか」を示せる客観的なデータ、つまりエビデンスです。

裁判官に対して「我が社ではセンサーを用いて科学的に体調を確認し、基準値以下の者は休ませるルールを徹底していました」というログを提出できるかどうかが、数千万円から億単位の賠償金を左右する分岐点になるんです。

小野馨

「顔色を見る」だけでは証拠にはなりません。

職長が「大丈夫か?」と聞き、本人が「大丈夫です」と答えた。

これだけでは、事故が起きた時に「安全管理が不十分だった」と判定されるリスクが高いんですね。

なぜなら、人間の感覚は主観的で、裁判で使える記録として残らないからです!

これすぐに対策しましょう!

(出典:厚生労働省『労働災害防止計画』)

ヒューマンエラーの正体は「脳のストレス」

「なぜ、あのベテランの職長が、あんな初歩的な手順ミスをしたんだ?」

建設現場での事故報告を聞くと、こうした不可解な事例に直面することがよくあります。経験不足の新人ならまだしも、何十年も現場を張ってきた人間が起こす単純ミス。これを「気の緩み」や「たるみ」といった精神論で片付けてしまうと、再発防止策は「もっと気合いを入れろ」という無意味なものになり、また同じ事故が繰り返されます。

実は、こうしたベテランのヒューマンエラーの正体は、過度なストレスによる「脳の機能停止」であることが科学的に解明されています。工期の遅れ、猛暑、危険作業への緊張感、人間関係のトラブルなど、現場は常に強力なストレッサーにさらされています。人間は過度なストレスを感じると、体内で「コルチゾール」というストレスホルモンが過剰に分泌されます。このコルチゾールが脳の前頭葉(判断力や抑制機能を司る部分)に作用すると、一時的に脳がフリーズしたような状態になります。

具体的には、「トンネル視(視野狭窄)」といって、視覚情報は入っているのに周囲の状況が見えなくなったり、直前の記憶が飛んでしまったり、普段なら絶対にしないような衝動的な判断をしてしまったりします。これは本人の性格ややる気とは無関係な、生理学的な反応です。例えるなら、泥酔状態で重機を操作しているのと脳内環境は変わりません。そのような状態で「気をつけろ」と叫んでも意味がないのです。

つまり、ヒューマンエラーを本質的に防ぐには、精神論で気合いを入れるのではなく、科学的なアプローチで脳のストレス反応を鎮め、正常な判断ができるコンディション(クリアな脳)に戻すことが不可欠です。これこそが、現代の建設業に求められる安全管理であり、結果として安全配慮義務を果たすことにつながるのです。

建設現場にこそ必要なのは「癒やし」ではなく「数値管理(見える化)」

「じゃあどうすればいいの?」と思いますよね。そこで私が提案したいのが、米国部隊も採用するメンタルマネジメント技術「HeartMath(ハートマス)」です。これは、いわゆる「癒やし」の道具ではありません。コンクリートの強度試験と同じように、見えないメンタルを「数値」で管理する計測機器です。

センサーで「脳のゾーン状態」を可視化する

使い方はめちゃくちゃ簡単です。耳たぶにクリップ型の小型センサーを挟んで、スマホやタブレットの専用アプリを見るだけ。これだけで、現場の安全管理が劇的に変わります。このシステムが測定しているのは「心拍変動(HRV:Heart Rate Variability)」というデータです。心拍数そのものではなく、心臓の拍動の間隔(ゆらぎ)を解析することで、自律神経のバランスをリアルタイムで可視化します。

アプリの画面上には、あなたの精神状態が以下の3つの色と波形で表示されます。

  • 赤色(Low Coherence): グラフがギザギザの状態。交感神経が過剰に優位で、イライラや不安が強く、脳の働きが低下している「ストレス過多」の状態です。この状態で重機に乗るのは事故のリスクが極めて高いと言えます。
  • 青色(Medium Coherence): リラックスはしているが、集中力が散漫な状態。あるいは、少し疲れが見え始めている状態です。
  • 緑色(High Coherence): グラフが綺麗な波形を描いている状態。交感神経と副交感神経が同期し、脳がクリアで集中力が高まっている「ゾーン」に入った状態です。トップアスリートや特殊部隊員は、本番で意図的にこの状態を作っています。

建設現場で重要なのは、この「見えない状態」を「見える化」することです。従来なら「なんとなく顔色が悪いから休ませようか迷う」という曖昧な判断だったものが、「コヒーレンス値(スコア)が低いから、今日は高所作業はやめて地上作業に回そう」あるいは「呼吸法を行って緑色になるまでクレーンには乗せない」という数値に基づいた明確な安全指示が可能になります。コンクリートの打設前にスランプ値を測るのと同じように、人間のメンタルも「数値」で管理する。これこそが、プロの現場管理であり、安全配慮義務を果たすための最も具体的な防止策です。

HeartMathが建設業の「安全管理」に最適な3つの理由

世の中にはメンタルヘルス対策のツールがたくさんありますが、なぜ私が建設業界にはHeartMath推しなのか。それには明確な理由があります。

①【証拠力】安全配慮義務の強力なエビデンスになる

これが経営者にとって最大のメリットかも知れません。HeartMathを用いたトレーニングや計測を行うと、日々のデータはすべてクラウド上のログとして記録されます。「いつ(日時)」「誰が(作業員名)」「どのような精神状態(スコア)だったか」、そして「ストレス値が高かった場合に、改善するまで呼吸法を実施したか」までもが履歴として残るのです。

想像してみてください。万が一、現場で事故が起き、労働基準監督署の調査が入ったり、最悪の場合、遺族から損害賠償請求訴訟を起こされたりした場面を。相手方の弁護士は「会社は安全管理を怠っていた」と攻めてきます。その時、手書きの日報で「体調確認:ヨシ」と書いてあるだけの資料と、システムで出力された「作業員のバイタルデータと、ストレスが高い作業員に対して安全措置を講じたログ」とでは、証拠能力に天と地ほどの差があります。

裁判官に対し、「我が社では、ここまで科学的に、かつ徹底して従業員の心身の状態を管理していました。予見可能性に基づき、結果回避義務を最大限履行していました」と胸を張って主張できる武器。それがHeartMathのログデータなのです。これは、会社を守るための最強の「保険」と言えるでしょう。

②【納得感】職人気質にハマる「ゲーム性」

建設現場の職人さんは、プロ意識が高い反面、「弱音を吐くのは恥」「メンタルケアなんて軟弱だ」という価値観を持っている方が少なくありません。そのため、臨床心理士によるカウンセリングや、漠然としたストレスチェックを導入しても、「面倒くさい」「適当に書いておけ」と反発され、形骸化してしまうことがよくあります。

しかし、HeartMathは違います。職人さんは、最新の電動工具やレーザー計測器といった「メカ」や、誰が一番か競う「勝負事」は大好きなんです。HeartMathはスマホ画面に自分のメンタルが数値としてリアルタイムに反映されるため、一種のバイオフィードバック・ゲームとして楽しむことができます。

現場では実際に、「おい、俺の集中力スコアを見ろ! ゾーンに入ってるぞ!」「お前、昨日の深酒が数値に出てるぞ(笑)真っ赤じゃないか」といった会話が飛び交います。無理やりやらされる「管理」ではなく、面白がってやっているうちに、自然と自分のコンディションを整える技術が身についていく。職人のプライドを傷つけず、自発的な安全行動を引き出せる点こそが、建設現場でHeartMathが支持される最大の理由です。

③【即効性】忙しい朝礼の3分で完結

建設現場の朝は戦争です。資材の搬入、KY(危険予知)活動、工程の確認など、分刻みのスケジュールで動いています。「メンタルヘルス対策のために、毎日30分の時間をください」なんて言ったら、現場監督に怒鳴られてしまうでしょう。現場にとって「時間がかからない」ことは、何よりも重要な導入条件です。

HeartMathのメソッドは、非常に即効性が高いのが特徴です。推奨しているのは、朝礼時のたった3分間。全員でセンサーを耳につけ、特定の呼吸法(ハートフォーカス呼吸)を行うだけです。生理学的に、心拍変動を整えて脳をクリアにするために必要な時間は数分と言われています。このわずか数分のルーティンを取り入れるだけで、通勤ラッシュのイライラや、家庭での悩み、二日酔いのダルさといった「ノイズ」を遮断し、脳を完全に「仕事モード(現場モード)」に切り替えることができます。

ダラダラと長い訓示を垂れるよりも、3分間全員で呼吸を整え、スマホ画面が「緑色」になったことを確認してから「ご安全に!」と散る。ラジオ体操の代わりにこの科学的ルーティンを導入する現場が増えているのは、その圧倒的なタイムパフォーマンスの良さが評価されているからです。

導入シミュレーション:コストではなく「利益」を生む投資へ

「でも、お高いんでしょ?」と費用対効果を気にする方もいると思います。結論から言うと、HeartMathの導入は、単なる安全対策コストではありません。「守り(事故防止)」と同時に、「攻め(売上アップ)」を実現する投資になります。

守りと攻めのハイブリッド効果

安全対策というと「お金が出ていくもの」と考えがちですが、視点を変えれば、これほどリターンの大きい投資はありません。以下の表で、具体的な費用対効果のインパクトを整理してみましょう。

視点 導入メリット 費用対効果のインパクト
守り(リスク回避) 安全配慮義務違反の防止、ヒューマンエラーによる手戻り・事故の削減、労災保険料の上昇抑制。 訴訟リスク(数千万円〜億単位)の回避

指名停止処分による倒産リスクの回避

攻め(売上拡大) 公共工事の入札加点獲得。銀行融資の金利優遇、SDGs評価による民間工事の受注増。 工事受注増による直接利益

融資コストの削減

人(採用・定着) 「科学的データで社員を守る会社」としてのブランディング。若手離職防止。 採用コストの大幅削減

求人応募率の向上

特に強調したいのが「入札加点」による実利です。HeartMathを導入し、それを実績として「健康経営優良法人」の認定を取得すると、多くの自治体で公共工事の入札ランク評価(主観点)に加点されます。地域によっては、この加点がないと土俵にすら上がれないケースもあります。つまり、システム導入費などのコストは、工事を1本多く受注できれば一瞬で回収できるどころか、大きなお釣りが来る計算になります。

まだピンときていない方は、以下の記事で「どれくらい損をしているか」を絶対に確認してください。あなたの会社の商圏で、ライバル企業がすでにこの加点を使っているかもしれません。

▼「健康経営」が入札の点数になる仕組みをご存知ですか?

HeartMathを導入して「健康経営優良法人」を取得することは、実は最も効率の良い入札対策でもあります。

建設業専門の行政書士が解説する「地域別の加点実態」と「認定戦略」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【建設業社長へ】事故を防いで入札も勝つ!健康経営が入札加点になる仕組みと認定戦略 ≫

結論:データで会社と従業員を守る決断を

「事故が起きてからでは遅い」

これは現場の安全標語だけでなく、経営においても同じです。

かつて建設現場では、経験と勘がすべてでした。しかし今は、測量にドローンを使い、施工管理にiPadを使う時代です。安全管理だけが、昭和の精神論のままで良いはずがありません。精神論の安全管理から脱却し、科学的データ(HeartMath)に基づいた「見える化」された安全管理へシフトする。それが、従業員の命を守り、安全配慮義務違反のリスクを回避し、さらに入札加点という実利までもたらす、現代の建設業における最適解だと私は確信しています。

費用対効果で考えても、これほど理にかなった投資は他にないんじゃないでしょうか。まずは、御社の現場で「ストレスの見える化」を体験してみてください。実際に数値を目にすれば、「あ、これなら職人もやるわ」「これは会社を守る証拠になるな」と実感できるはずですよ。

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